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教室員の風景

2022年1月

「心を燃やせ」

 初めまして。2012年卒の笠原真木子と申します。昨年夫の故郷である滋賀に一家で移り、滋賀医大に入局いたしました。毎日もがきながらではありますが、優しく手を差し伸べてくださる周囲の方々の支えにより、実りある日々を過ごしております。
 環境が大きく変化する中で心を整えるためにしているのが走ることです。近所にお気に入りの道を見つけました。近江八幡市、安土町、能登川町を走る「びわ湖よし笛ロード」です。ロードの起点から琵琶湖に注ぐ白鳥川沿いの数キロを走っていると、頭がすっきりしてきます。最初は朝昇る太陽の光や鳥のさえずりに癒されていたのですが、最近はまっているのが夜ランです。外灯のない夜の白鳥川の暗いこと!滋賀に来る前はサブカルチャーの聖地、秋葉原に住んでいました。家の右隣はメイドバー、左隣はエアガン射撃場というある意味東京らしい混沌とした場所で、街が活気づいてくるのは夜6時を過ぎてから。そんな所からやってきたためか、夜の暗さが経験したことのある限りの暗さの何倍も深い感じがします。ロードは舗装されているため走りやすく、昼夜を問わずそれなりに人気があるランニングやサイクリングスポットですが、夜は基本的に向かいからやってくる人の姿は見えません(暗すぎて)。想像してみてください。息遣いのみが暗闇の奥から向かってくるのです。男性か女性か、はもちろん、そもそも人なのかさえ分からない。一体何者が向かってくるのかと構えて走り、すれ違うその一瞬だけ「チワワを連れた体の大きな若者だ」みたいなことが感じられるのです。その神経を研ぎ澄ませる瞬間がなんだか野生動物にでもなったかのようで楽しくて、はまっています。
 もう一つ、心を強くするため大切にしているものが言葉です。入局初日に村上教授から新入局員に向けてお話をいただく機会がありました。私も産婦人科1年生の皆さんに交ざって「謙虚・誠実・真剣(誰からも学ぶ姿勢を持ち謙虚であれ。誠実に物事に取り組み、わが身ならどうするか、という真剣さを持って向き合いなさい。)」という言葉をいただきました。この言葉をお守りにして、折に触れて思い出します。10年以上も昔に遡りますが、夫が医学部6年生のときに大学病院の初期臨床研修の説明会があり、村上先生のお話を聞いたそうです。その時、各診療科の教授陣より研修プログラムについて一般的な説明がなされた中、村上先生だけは一味違って学生一人ひとりの人生や未来に焦点を当てた話をしてくれた。パワーポイントのスライドも潔く3行のみ。勧誘というより心に響くプレゼンテーションだった、と言っていました。そんなエピソードを聞いて、回り回ってあの時の一学生の妻が滋賀県の産婦人科医療に携わりたい、と飛び込んできてしまったわけですから、言葉が人を動かす力ってすごいなと思います。
 「鬼滅の刃」の炭治郎も「人は心が原動力だから」とキラキラした目で言っていましたが、本当にそうですね。というわけで、2022年も心に炎を灯して頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。