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婦人科診療

悪性腫瘍について

子宮頸癌

子宮頸癌はそのほとんどが性交渉によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)、その中でもHPV16型、18型など高リスク群といわれるグループが癌を発症します。実際に感染して子宮頸癌となる方はごく一部ですが、初交年齢が若年化する現在では20代での子宮頸癌発症も増えており、自治体の子宮がん検診も20歳から(ただし2年ごと)となりました。しかも子宮頸癌やその前癌病変は子宮癌検診にて高率に発見できます。当科でも細胞診やコルポスコピーを併用した精密検査を行います。

初期の子宮頸癌は上皮内癌といい、子宮腟部円錐切除術という手術で治療が出来ることが多く、子宮を温存するため治療後に妊娠、出産も可能です。

浸潤癌の場合は手術療法や放射線療法を行います。また進行癌では化学放射線同時療法が勧められますが、当科では病巣に抗癌剤を直接注入する動注化学療法+動脈塞栓術を用いて病巣を縮小させ、手術や化学放射線同時治療を行い、高い効果をあげています。また、術後化学療法も有効と考えています。
 子宮頸癌の手術は広汎子宮全摘術といい術後の排尿障害や骨盤内リンパ節郭清によるリンパ浮腫といった後遺症があります。そのため病巣が小さい場合は神経温存手術を行い、排尿障害を抑えます。また、術後全例に自己によるリンパマッサージを指導し、リンパ浮腫発症の予防に努めています。

子宮体癌

子宮体癌は同じ子宮に発生する癌でありながら、先の子宮頸癌とはまったく異なる病気です。一般に子宮がん検診は頸癌検診だけを指すことが多く、残念ながらそれだけで子宮体癌を診断することは困難です。また、子宮体癌は月経異常、未産、肥満などが危険因子とされ、生活の欧米化や晩婚化、少子化に伴い急激に増加しています。40代後半以降に多いとされますが、30代でもみられるようになりました。当科では先の子宮体部細胞診や精密検査としての子宮鏡検査を行っています。

子宮体癌の治療は手術療法が基本となります。癌治療においてリンパ節転移は常に考慮する必要がありますが、子宮体癌の場合はへそ上からみぞおちまでの間にあるリンパ節に転移することが多く、初期癌以外では骨盤内とその部分を含めたリンパ節郭清(骨盤~傍大動脈リンパ節郭清)を行っています。腸閉塞などの合併症が問題とされていますが、当科ではほとんど発症していません。また子宮頸癌同様、術後にリンパマッサージの指導を行います。

挙児希望があり、病巣がごく初期であるなど条件が合致する場合は、ホルモン療法と子宮鏡検査を併用した子宮温存療法を選択することも可能です。

卵巣癌

卵巣癌は女性生殖器に発生する癌で、最も予後が不良といえます。その理由は子宮癌のような検査が困難なことや、初期の自覚症状に乏しいことから病気が進行して初めて診断されることが多いためです。腹部に腫瘤を触知するという症状のほかに、腹部膨満や体重減少を主訴に内科を受診して診断されることもあります。結果、卵巣癌の約半数は癌細胞が腹腔内に播種した癌性腹膜炎の状態で発見されます。

卵巣癌治療は手術療法とともに化学療法が非常に重要となります。とくに前述の癌性腹膜炎では手術だけで病巣を切除するのは不可能なため、化学療法が必要不可欠です。しかし、術後の残存腫瘍が1cm以上の場合は化学療法の効果が著しく低下するため、まず手術で可能な限りの病巣摘出をはかります。子宮体癌と同様のリンパ節郭清のほか、消化器外科による腸管合併切除なども行います。また、切除した癌組織を用いて抗癌剤感受性試験も行うことができます。

その他の婦人科がんについて

これらのほかに、卵管癌や腹膜癌、腟癌、外陰癌など女性生殖器の悪性腫瘍や絨毛性疾患などの治療も積極的に行っています。

良性腫瘍について

子宮筋腫

子宮筋腫は子宮に発生する良性腫瘍ですが、発生部位、大きさ、数はさまざまで、自覚症状も個人差があります。子宮筋腫は約3割の女性に認められ、全ての方に治療を要するわけではありません。過多月経やそれによる高度貧血、巨大筋腫や痛みを伴う場合などがその対象となります。

治療法はホルモン療法のほか、手術療法として、子宮摘出術や筋腫のみ摘出する核出術などがあり、発生した部位に応じて、腹式手術、腟式手術や腹腔鏡、子宮鏡を用いた手術などを使い分けます。なお、子宮摘出により月経は消失しますが、卵巣を温存すれば更年期症状は起こりません。

卵巣嚢腫

排卵を司る卵巣は月経周期に伴いその大きさを変動させています。この生理的な卵巣腫大は一時的な現象ですが、逆に言うと、持続的に腫れている場合は卵巣腫瘍が疑われます。

卵巣に発生する腫瘍の多くは、内容に液体成分を有する嚢胞を形成し、卵巣嚢腫と呼ばれます。卵巣嚢腫が捻れた場合には激しい痛みを伴いますが、それ以外ではほとんど症状が無く、婦人科検診や他科受診時に偶然に見つかることも稀ではありません。5 cmを越えるものや次第に大きくなるものでは,卵巣癌との鑑別が重要です。

卵巣嚢腫は薬で治療することができないため、手術療法が選択されますが、卵巣ごと摘出する方法と卵巣嚢腫だけを摘出して正常組織をなるべく温存する方法の2通りの術式があり、いずれも現在では、ほとんどが腹腔鏡下に行われています。

子宮内膜症

子宮内膜症は子宮内腔に存在する子宮内膜と類似した組織が異所性に存在する病気で、近年増加しているといわれます。エストロゲンという女性ホルモンにより増悪する傾向があり、月経痛や不妊症の原因となります。子宮腺筋症は子宮の筋層に子宮内膜症がある状態で、増大すると子宮筋腫と同様の症状が出現し、特に激しい月経痛と月経過多による高度貧血が問題になります。卵巣チョコレート嚢胞は卵巣における子宮内膜症病変であり、最近は卵巣癌発生の原因の一つと考えられ、40歳以上で腫瘍径6cm以上では手術が考慮されます。

子宮内膜症は薬物療法だけで完治することは難しい疾患ですが、近年、子宮内膜症に対するホルモン療法の選択肢が広がりました。また、チョコレート嚢胞に対する手術療法も、バリエーションがあり、当科では腹腔鏡下にレーザーによる焼灼術も施行しています。疼痛,不妊、チョコレート嚢胞という3つの異なる因子を対象とする子宮内膜症に対して、当科では、ひとりひとりの状況に即した治療を提案しております。

内視鏡下手術について

腹腔鏡下手術について

当科では主に良性疾患や子宮外妊娠に対して積極的に腹腔鏡下手術を取り入れています。症例により状況は異なりますので、すべての方が適応になるとは限りませんが、腹壁に3〜4カ所の小さな創による美容的利点と創痛の軽減が挙げられ、入院期間も短くて済み、本手術はこれからの主流になりつつあります。現在は悪性腫瘍に対する適応も検討中です。

なお、腹腔鏡下手術は一般に手術時間が延長し、開腹手術では生じない腹腔鏡独特の偶発症や合併症もありますが、当科では2009年には127件の腹腔鏡下手術を施行し、大きな合併症はなく、手術操作困難のため1例のみ(0.8%)開腹手術に移行しました。

子宮鏡下手術

過多月経や不正出血、あるいは不妊症の原因と考えられる粘膜下子宮筋腫や子宮内膜ポリープに対しては、子宮鏡下手術を行います。
子宮鏡下手術にも特有の偶発症がありますが、安全確実に行うための様々な工夫を凝らしています。2009年には67件の手術を施行しました。

尿失禁・性器脱について

尿失禁、性器脱とは

咳やくしゃみで尿がもれる(腹圧性尿失禁)、外陰部にものがはさまっているようで気持ち悪い(性器脱)といった症状が特徴です。

受診された患者さんの多くが、「歳のせいだと思っていた」「恥ずかしくて誰にも相談できず我慢していた」とおっしゃいます。

これらの疾患は、日常生活に支障をきたす状態であれば、治療によって症状を改善し、生活の質を高めることが可能です。
当科では以下のような治療を行っています。

尿失禁
骨盤底筋体操
薬物治療
手術(TOT手術)
性器脱
膣内ペッサリーリング
手術(腟式子宮全摘術、TFS手術、TVM手術など)

2009年は、TVM手術を13件、腟式子宮全摘術を7件、TOT手術を4件行いました。

TFS手術(Tissue Fixation System手術)とは

骨盤底を支える靭帯をポリプロピレンテープで補強することにより、子宮を摘出せずに、子宮脱(性器脱)を治療します。従来の子宮を摘出する性器脱手術よりも低侵襲であり(入院期間が短い)、本来の正常な構造に近い状態に修復できること、が特徴です。

考案者Petrosに直接指導を受け、日本で導入している湘南鎌倉総合病院婦人泌尿センター部長 井上裕美医師に指導を受け、手術を行っています。

TVM手術(Tension-free Vaginal Mesh手術)とは

子宮を摘出せずに子宮脱(性器脱)を治療する手術方法で、膣壁にメッシュを埋め込みます。TFS手術と同じく、従来の子宮を摘出する性器脱手術よりも、正常な構造に近い状態に修復できること、再発率が低いことが特徴です。

性器脱と尿失禁は、骨盤底筋体操や、薬物療法などで症状が改善することもあります。悩んでいらっしゃる方は、一度受診して御相談下さい。

更年期について

更年期は、閉経前後の期間を指し、この期間に卵巣機能の低下に伴って女性ホルモンが低下することで様々な症状が起こります。顔のほてり(ホットフラッシュ)やのぼせ、異常発汗、動悸、めまい、頭重感、肩凝り、不眠など。
更年期の症状は、高脂血症や血管障害などの加齢に伴う疾患や生活習慣病、社会環境の変化による心理要因による症状も関連するため、症状や重症度も個々人で異なります。

当科では、患者さんのお話を伺い、ホルモン補充療法や漢方療法、その他の薬物治療を行っています。