教室員の風景

2022年3月

「日本風ラーメン」

皆様、こんにちは。もうすぐ医師14年目になる母子診療科 所伸介です。
早いもので帰学してから5年の月日が流れようとしています。これだけ長期間大学にいると、この「教室員の風景」の原稿も「2巡目」が廻ってくるのですね。遡ると2018年12月にステーキの写真が掲載された私の投稿がありましたので、38ヶ月ぶりということになります。

で、今度はラーメンです。また食べ物の話ですみません。
妻からは「わざと身体に悪そうな食生活をしているとしか思えない」と良く叱られますが、そもそも40代になるまで美食というものに興味がありませんでした。20代の会社員の頃(長崎在住)は北海道、東京、名古屋、大阪、広島、福岡と食道楽ならば垂涎の地を毎週のように訪れていたにもかかわらず、名物と呼ばれる食事を楽しむことが殆どなかったのです。「安心だから」という理由で、遠方でもマクドナルド(どこが安心なのでしょう)で殆どの場合満足していたのです。その後、30代から徐々に美食に目覚め始め、今やラーメンの虜です。ターゲットはあくまでも身体に悪そうな食事で、そこからぶれることはありません。

実は、日本で現在親しまれているような「日本風」ラーメンは非常に特異なジャンルなのだそうです。発祥はもちろん中華料理ですが、さりとて現在の中華料理や他のアジア地域の料理の中にこのような麺類を見出すことは出来ません。スープ、麺、具材、それぞれに日本人好みのこだわりが詰め込まれ、さらに互いの調和が保たれて、初めて現在のような「日本風」ラーメンが完成するわけです。私は何と言っても正統派の醤油ラーメンが好みです。見た目にインパクトのあるラーメンも悪くはないですが、奇をてらったものではなく、一見は極普通のラーメンでそれでいて研ぎ澄まされたような味が堪らないのです。現在の一番のお気に入りは彦根にある「江陽軒」というお店です。写真をご覧いただければ一目瞭然ですが、とにかく正統派の味で、全ての素材が完璧です。メニューの数も少ないです。(あれこれメニューの数が多いラーメン屋さんは私の好みではありません)昨年末の事故で現在は一時休業中ですが、間もなく営業再開されるようで待ち遠しい限りです。店長の「頑固・寡黙・バイトに睨みを利かせている」雰囲気もなかなか良いです。皆様も是非一度訪れてみてください。

一方で、さらに美味なるラーメンを求めて、少し遠出する機会があれば常に周辺情報に目を光らせてもいます。そう、常により美味なラーメンを探し求めること自体も立派な楽しみになるのですね。今、「趣味は?」と尋ねられたら結構まともに「美味しいラーメン屋探し」と答えてしまうような気がします。奇しくも息子から贈られた「人生を変える言葉」にあったジュール・ルナールによる「幸福とは幸福を探すことである」という言葉を改めて噛みしめる今日この頃です。ラーメン屋探しに当てはめるにはちょっとおおげさですかね?