入局とは

本来入局とは、放送局や医局などの「局」の付くところに入り局員となることをいいますが、ここでいう入局とは、滋賀医科大学産科学婦人科学講座の同門会である湖翔会というコミュニティに入会することを意味しています。
なぜ同門会に入ることを求めるのかと言うと、滋賀県の地域医療を担う中で患者さんによりよい医療を提供するには、大学病院だけでなく関連病院や診療所を含めた緊密な連携が肝要であり、そのために顔を広め、絆を深めるもっとも簡便にして確実な方法だからです。

for the patient

「人」という字はお互いに支え合うという比喩を出さずとも、ひとは一人では生きられないことはおわかりだと思います。ましてや、悩みを抱えた患者さんに対峙することを天職とした皆さんは、自分一人でできることの限界を知る必要があります。患者さんに全人的医療を施すために、あるいは地域でサポートするためには、常にチームとしての対応が必要となります。周囲への協力を請うときに、もっとも力になるのが「同門会」というネットワークです。同門であるという共通認識が、スムースに連携するチーム医療を実現します。

for yourself

もちろん、あなた自身にとってもメリットがあります。それはヒューマン・リレーションでもっとも重視される「信頼・信用」を得るための最良の手段となることです。同門会はホームです。同じホームに所属するという「信頼」は、親が子を、兄・姉が弟・妹を守るような愛情を育み、互いに発展し協働するという仲間意識を生みます。
また、社会的に得られる「信用」は人生の選択肢を広げます。卒業時のマッチングを思い出して下さい。全国的にも有名な病院が初期研修医を何十人と募集し集めます。その後初期研修の2年が終了し、専攻を選んだとき、その病院に残ることが出来るか否か。最初の篩(ふるい)にかかります。首尾良く居残れたとしても、さらに3年も経ち専門医を取る頃には、次の選抜が待っています。上に行くほどポストは減りますから、その病院のスタッフとして採用されるためには、熾烈な競争に勝ち残ることが必要です。言い換えれば、長らくその病院の所属であると名乗ることが出来るのは、当初の募集人員のほんの一握りということです。その選に漏れた人たちは、帰属するコミュニティを失い「個人」として生きていかねばなりません。次の行き先を決めるのも自由というと聞こえは良いですが、流浪する個人は、世間的には信用を貶めていくことに等しく、現実には選択肢が狭められることになります。人生において難行を求めることの価値を否定するものではありませんが、入局した者には無縁の苦労です。入局することにより、将来どのような方向に進むにしろ、バックアップが得られます。この安心感は必ずや選択に余裕を生むことでしょう。

for the team

しかし、入局すると

  • 医局の人事で異動が決まり自由がない
  • 希望するところに行けない
  • 滋賀県でしか働けない

など、いろいろと心配があるのではないでしょうか。

確かに、地域医療を守るという大きな使命のもと、全体を見据えた人事を必要とする場合があるのは否定しません。for the teamが求められ、個々人にとっては不本意なケースもあるかも知れません。しかしながら、それがすべてではありません。
現在、本講座の関連病院に勤務しているメンバーには毎年意向調査を行っており、次年度以降の希望を吸い上げています。大学病院と関連病院、県内か県外、留学や研修など、各々の希望を自由に書いてもらい、できるだけ多くの者の願いが叶うように配慮しています。例えば、留学の希望があれば、入局した者には推薦状を用意しますし、斡旋も行います。実際に先輩諸氏が研鑽を積んできた海外留学や内地留学の主な施設には以下のところがあります。
がん研有明病院、国立がん研究センター中央病院、国立成育医療研究センター、日本赤十字医療センター、山王病院、大阪府立母子保健総合医療センター、国立循環器病研究センター、倉敷成人病センター、鹿児島市立病院など。
人気施設に受け入れてもらうには、「個人」で申し込むよりも、バックボーンのある方が圧倒的に有利です。

また、とくに女性陣は伴侶の動向により県外へ移動する場合も少なくありませんが、そうした場合にも、各々の希望に添って推薦状を書いたり、先方に依頼をしたりして、活躍の場を提供しています。当然、個人としてのそれなりの努力は必要ですが、入局者の希望に対しては、今風に言うなら、結果にコミットしています。

最後に

繰り返しますが、同門会はホームです。どうぞ湖翔会をあなたのホームグラウンドにしてください。