教室員の風景

2010年6月

滋賀医科大学産科学婦人科学講座(女性診療科)の髙島です。 私が産婦人科研修医として病棟で日常雑務に追われる中、産婦人科医になってよかったと思う瞬間のひとつに出生証明書の記入の仕事がありました。様々な出産ケースに立ち会う機会の多い大学病院で、時には出生まもなく亡くなってしまう赤ちゃんもありました。妊娠中、子宮の中で生命を育み、少しであったけれどもこの世の中に生まれてきてくれたこと、そして彼らが存在したことを知っている一人であること、その子供たちの存在を紙面で証明することが出来ることを有難く感じました。大学での研修の後、婦人科内視鏡手術を勉強する機会を与えていただき、毎日腹腔鏡手術の鍛錬と同僚との楽しい交流の充実した期間を過ごしました。

その後大学で不妊診療を勉強させていただく事となり、現在は婦人科内視鏡手術と不妊診療に携わる日々です。妊娠する過程や妊娠中にうまくいかない事で通院されている方のお役に立てるよう、一人でも多くの未来ある生命が存在していけるよう、お手伝いできればと考えています。

私自身、妊娠できないかもしれないと落ち込んだ時期を通して妊娠・出産を経験し、生命が存在していく過程の素晴らしさを、子供を見るたびに思う日々です。とはいえ、育児の始まった実際の日常はそんな悠長なことを言っておられない位バタバタで、諸先生方の寛大すぎるサポートのお陰で産婦人科医を続けられています。週末に家族で過ごせる時間も持つことができました。今は、手術後の患者さんの嬉しい報告を聞いたとき、経腟超音波で子宮内に胎嚢を発見したとき、娘の成長を発見するときが楽しい時間です。