教室員の風景

2011年5月

滋賀医科大学産科学婦人科学講座の竹林明枝です。平成15年卒業です。
東日本大震災の爪後はまだ残りますが、東北新幹線が全線再開し目に見える形で復旧が進んできています。被災されても着実に前に進まれている東日本の方々に敬意を表します。今後、加速度をつけて復旧していくことを願っています。
 さて、私事ですが、昨年、長男を出産し、この4月に社会人大学院生として復帰しました。産婦人科医としてこれまで数々の出産に立ち会ってきましたが、自分の出産となると、素人のように緊張しました。出産前は、陣痛が来てしばらくは自宅待機、子宮口5~6㎝まで開いてから病院に行き、その後数時間で出産するという安産をイメージしていました。
しかし、現実は…深夜3時の緊急帝王切開でした。
陣痛の痛みは一般に言われているように相当なものでした。これまで医師として陣痛のきている妊婦さんに「頑張って下さい」と言ってきましたが、そんな言葉では慰めにはならないということが身をもって分かりました。陣痛を乗り越える気力の源は、我が子に会えるという期待でした。残念ながら、胎児心拍が低下し、子宮口が7cm開いたところで緊急帝王切開となり、最後まで陣痛を経験することはできませんでしたが。
長男は、当日の産科当直医と新生児科当直医の迅速な対応により無事に出生しました。手術室で聞いた第一啼泣を私は生涯忘れることはないでしょう。長男は現在すくすくと成長し笑顔で保育園に通っています。もうすぐ初節句です。
今回の経験の中で、患者の立場で産婦人科医療をみる、ということも大変勉強になりました。今後は、この経験を生かして、一人でも多くの女性に我が子を抱く幸せを味わって頂くべく、日々精進してまいりたいと思います。