教室員の風景

2014年7月

いろんな人がいるということ-いまだカルチャーショック中-

こんにちは、滋賀を離れてもう5年になります、山本依志子です。同じようにイギリス生活ももうすぐ5年になります。
イギリスの一番いい季節といえばもちろん夏でしょう。5月くらいから8月まで、イギリスの代名詞のような雨も影を潜め、青い空、涼やかな風(イギリスは風が強い)、そして花と緑。一気に春と夏が一緒に来る、おそらく北海道のような気候かと思われます。春の訪れを告げるスノードロップから本格的な花の季節を知らせるブルーベルのあとは、イングリッシュローズが満開になり、一面の芝生も青々とする、もう、このためにイギリスの一年はあるかというくらいです(おおげさ?)。その分、イギリスの花粉症の季節は6月がピークなのですけれどね。今回の写真はオックスフォードを流れるキャナル沿いの小径です。この時期、鴨や白鳥の赤ちゃん連れだったり、キャナルに面する庭でくつろいでいる人が見られたりで、のんびり散歩するのがとても気持ちのいい季節です。

オックスフォードは大学の街でもあるので、田舎の町よりかはとても多くの国の人たちが住んでいる街です。街中を歩いていても、ヨーロッパの言語、アラブの言語、アジアの言語など、今のは何語だ?という言葉がたくさん聞こえてきます。今や英語が国際標準語になっているので、英語を学ぶ、使う国は多く、そういう人たちにとってイギリスやアメリカは移住しやすい国なのでしょう。
実のところ、私はそこまでどっぷりとイギリス社会につかっているわけでもないのと、言葉の問題もあっていまだに戸惑うことは多々あります。とりわけ違うと感じるのは人と人とのコミュニケーションでしょうか。楽だなあと思うのは、人が何をしていようと気にしない、というか、もちろん道徳的におかしいことは直接注意しますが、それが特に気にならないレベルのことであればスルーです。どんな服を着ていようと、その人が好きなように振舞っているのも、特に奇異に映りません。ピアプレッシャーというものでしょうか、そういうものが日本のように強くありません。それはとても気楽です。
だけれども、いろんなことが許容される分、自分のことは自分でちゃんとしなければいけないとも感じます。許容されるけれども、それで判断される部分があります。そして、いろいろな人がいる分、きちんと言葉にして自分のことを伝える必要があります。日本のようにこういう風な感じだから、こんなことを考えているんだろうなと空気をそこまで読む必要もないですが、そういう風に考えてもらえることも期待できません。阿吽の呼吸はない、ということです。こういうことって、きっと今までにいろんなところで指摘され、書かれているんでしょうけれど、知識としてあるのと実感するというのはまた別のことのようですね。でも、きっちり言葉で伝える分、考え方もとてもロジカルで、理にかなっていることならば、感情に流されることなくきちんと主張すれば大多数の場合、ちゃんと聞いてくれて考慮してくれるので、とても安心です。逆に、大人しく日本人のようにしていると、何を考えているのかわからない(ある意味得体の知れない)アジア人、になっちゃいます。私も自分がそんな風になっているのを多々感じることがあるので、ここで暮らしていく上ではまだまだ大きい課題ですね。

とまあ、日本人とイギリス人(欧米人?)っていうだけで、コミュニケーションだけでもこんなに色々違うと感じるのに、ここにはフランス人、スペイン人、ポーランド人、ロシア人、アメリカ人、インド人、パキスタン人、ペルー人、ブラジル人、スーダン人、中国人、韓国人などなど・・・みんな色々思うことあり、時には文句をいい、時には助け合って暮らしています。日本の文化を守りつつ、世界に目を向ける、世界の中の日本を考える、そんなことができるのはとても面白いことだと今は感じています。