教室員の風景

2015年1月

五十にして天命を知る

女性診療科講師の木村文則です。医師をして20年を超え、もうじき47歳となります。みなさんご存知の「三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知る」という孔子の言葉があります。三十歳で学問や仕事の基礎を習得し自立でき、四十歳になると自分の生きる道に迷うことがなくなり、五十歳には天から与えられた使命、すなわち自分が人々のために何ができるかを知るということです。この言葉になるほどと思うこともありますが、医師の場合、少なくとも私の場合は、最初の二つはもう少し遅かったように思います。三十五から四十歳にして立ち、四十五歳にして惑わずという状況であったと思います。医療人としての知識や技術の習得は現在も続けていますが、その分野の一通りのことを習得し最先端のことに手が届くようになったのは、三十五から四十歳ころだと思います。また、医療人としての意識というのは四十五歳くらいで大きく変わったように思います。やりがいであるとか情熱という言葉で表してもよいと思いますが、若い頃とは違った感覚でひとつひとつのことを感慨深く感じるようになってきています。これがおそらく惑わずということなのだろうと自身では考えています。

ここ数年の間におそらく天から与えられた使命を悟ることになると思います。医師においても天命を知るというこの言葉だけは五十歳というのは正しいと思っています。諸先輩方の意見を聞いても行動を見ていてもそのように感じます。この天命に従い医療人として少しでも患者さんや同僚の役にたてれば幸せで豊かな人生であると考えています。