教室員の風景

2017年12月

「ミニレクチャー」

花田です。
産婦人科の医師になるためには、少し時間がかかります。
まず大学の教育課程が6年。ここで医学に関しての知識をひと通り学びます。医師国家試験に合格すると、4月から医師臨床研修が2年。予め決められた科(内科や外科など)の他、自分でいくつか選んだ科でだいたい1〜2ヶ月ずつ研修を行います。いわゆる「研修医」の時期です。
研修医2年目に入ると、自分がどの科に進むかを考え始めることになります。自分もそうでしたが、この時期まではなかなか決められない研修医も多くいます。しかしいざ産婦人科と決まれば、研修終了後の4月(医師3年目)からさらに研修を開始し、同時に産婦人科医としての生活が始まります。研修期間は3年間で、終了後に試験を受け合格すれば「産婦人科専門医」の資格を得られます。つまり産婦人科では医師6年目でやっと資格が得られることになります。
滋賀医大産婦人科では、専門医を取るまでの期間の医師を「専攻医」と呼んでいて、先輩医師の指導の元で専攻医には様々な業務が任せられ、研鑽を積んでもらっています。

ところで、皆さん勉強する時にはそれぞれ独自のスタイルがあるかと思います。学生時代の私は、例えば試験の前日には勉強を始めるためにまず、好きな音楽をかけて全力で歌いながら部屋の掃除をします。
風呂に入ると、普段やらない水周りが気になります。やります。
疲れます。ちょっと寝ます。起きます。朝です。

ダメ学生の典型ですが、理由があります。勉強が嫌いだったからです。
しかしさすがに仕事を始めてからは何をするにも知識や技術が必要であり、暗黒の学生時代のツケもあり、「勉強しないとヤバい」状態に。好きも嫌いもありません。
しかし特に専攻医の時期には、診察や分娩、手術、外来など多くの業務が同時多発的に進行するため、調べものをしたりする時間がほとんど持てませんでした。というより、当時の私は時間の作り方(悪く言えば手の抜き方)が分からず、睡眠時間を削ったりもしておりましたが、今思えば若さで乗り切っていただけでした。

私は専攻医修練を他の病院で行なったのですが、大学でも同様に専攻医は多忙を極めています。しかし大学では、教授・教育医長の号令の下、そんな専攻医向けに毎週ミニレクチャーが行われています。テーマを分けて毎回15分程度、診療の要点を、専門医資格を持つ先輩医師が講義しています。
自分が専攻医の時にもこんなのあれば良かったのに、、と羨む内容ばかりで、時々専攻医に混じって聴講しておりましたが(写真は忍び込んだ時の1枚)、こんな私にも来週担当講義が回ってきています。
不妊症の診療に携わっている関係で、テーマは「タイミング指導」。
裏テーマは「専攻医への性教育」。真面目に講義して参ります。