教室員の風景

2019年5月

「帝王切開」

信田侑里です。
少し前の話になりますが、私は予定帝王切開で出産しました。
手術当日は朝早くに眼が覚めて、病室から外を覗くと、こんな朝焼けの風景が広がっていました。
長い時間を一緒に過ごしてきたけれど、いよいよ今日我が子の顔を見ることができるのだなあと感慨深い気持ちだったのを覚えています。
 
帝王切開の流れ自体は職業上よく理解しているのですが、実際に受けてみて興味深かったのは麻酔のことです。
予定帝王切開の麻酔は普通は脊髄くも膜下麻酔という下半身麻酔で、触られている感じはわかりますが痛みはありませんよと患者さんには説明します。
しかしこの”触られている感じ”というのが、思っていたよりもかなりしっかりあるのです!
触られている場所や引っ張られる感じなどを、帝王切開の手順と照らし合わせて考えると、何をされているか大体わかってしまいます。
 
 始まった。本当に切られても痛くないな。
 今子宮を切られている。あ、産まれた。
 出血しているなあ。今子宮を縫っているんだろうな。
 お腹を洗われている。
 これから筋膜縫合か。 麻酔の範囲が下がってくるのも結構よくわかるわ。
 ほんの少しだけ縫われている所がチクチクしてきた気がする。
 でも今皮膚縫合みたいだし、もうすぐ終わりそう…どうしよう。
 あ、終わった。ホッ。
 
こんなことを考えながら、8年目の産婦人科医は初めての帝王切開を受けていたのでした。
自分のお腹がどんな状態になっているか、冷静に想像するとさすがに気分が悪くなりそうだったのですが、信頼できる医療スタッフの方々に囲まれて、無事に手術を終えることができたのは何より幸いで有り難いことでした。
個人差もあるかとは思いますが、手術後の回復具合や貧血症状、痛みなどについても、これまで考えていたのと実際とでは若干ずれがあるように感じました。
自然分娩できないことが少し残念に思った時期もありましたが、帝王切開は帝王切開で今後の診療に生かせる貴重な経験ができたので良かったなと思って
います。