教室員の風景

2020年9月

変化いろいろ。

 平成ひとけたに医師になった笠原です。今年、私の生活は思わぬ変化に見舞われています。一つは言わずとしれたコロナ禍。この数カ月、それまで当たり前だったことが次々と消えたり変わったりしました。たくさんのイベントが無くなり、学会も研修会もe-ラーニングに置き換えられました。会食不可、入院患者さんの面会制限・・・、緊急事態制限が解除されても、元に戻らないことはあまりにも多く、「夏、気温が上がったら下火になるよ」「東京オリンピックは予定どおり」など2月頃に本気で言い合っていたのがあきれるほど懐かしいです。
 もう一つは大津西武が閉店することです。約1年前急に発表され、この8月末でなくなってしまうのです。私は子供時代の最後の頃に、大津西武の近所に引っ越してきました。以来、生活はほとんど大津西武dependentです。たいていの物が手に入ります。初期は今では考えられませんが、洗濯機や冷蔵庫など電気製品もありました。たびたび改装していて、近年は衣類・ファッション雑貨の割合が大きくなっていました。お買い得な日常の食料品は他のスーパーに行くとしても、品質に間違いない品々が近所でいつでも手に入る生活はそうそうあるものではありません。〇十年ここに住んでいたわけではなく県外で働いた時期もあったのですが、8年前県内勤務に戻ると同時に、また元の家に戻りました。圧倒的に便利なのです。20時閉店の10分前に帰って安くなったお惣菜を買ったり、たまに30分くらい早く帰って衣類売り場に行ってみたり。仕事で忙しく時間がないときでも「西武に行けばある」はとても心強いことでした。高島市民病院の1人医長だった半年間も、大津に時々戻った折にはグルメな食品などを買っていました。
 でもそういえば、いつでも行けると思えば、あまり有難みを分かっていなかったかも。学会などでたまに東京や大阪に行ったら、特別感も手伝ってよくショッピングしてました。その後大津西武で同じ服を見つけたことも。閉店が発表されてから、もっと買うんだったと反省しきり。いつまでもあると思うな○○××とはよく言ったものですが、まさか無くなるとは・・・。そういえば、高島の看護師さんたちは欲しいものを何でもアマゾンで買ってたな。私はあまり利用しませんが、そういう人々の消費行動の変化もデパート経営には逆風になったのかもしれません。
 昨年末頃から、それまであったデパートらしい品ぞろえが少しずつ無くなり(テナントが引き揚げ)、閉店準備をじわっと感じていました。そこにコロナ時短・休業が加わった3~5月、それが終わるとあちこちでセール、セール。一応参戦。ラグジュアリーな売り場は次々に消滅。8月に入ると、6階のロフトや1階の食料品売り場の棚が空になっても補充されなくなり、いつも頼りにしていた大津西武はもうすでに無いのだと実感されました。
 周りには24時間営業のスーパーもコンビニもあるし、その意味ではホントに困るわけではありませんが、生活の潤いというぜいたくな部分を確実に失います。私の人生の半分以上、文字通り隣で生活・仕事を物心両面で支えてくれた西部大津ショッピングセンター。ありがとう、そしてさようなら。9月に入ったらすぐに取り壊しが始まるそうです。この文章がHPに載る頃には、私も新しい生活を模索し始めていることでしょう。